自閉症で多動のある子の外出|ベビーカー拒否から考える癇癪対策

床に転がって癇癪を起している様子

外出のたびに、

「また癇癪が始まるかも

そんな思いで外出がしんどくなる経験はありませんか。
自閉症で多動のある子どもとの外出は、思い通りにいかないことの連続です。

  • 歩きたい
  • 抱っこしてほしい
  • ベビーカーは嫌

そんな思いが子どもにあったとしても、

  • 勝手に動いてしまうため歩かせるのは危ない。
  • そのため抱っこをするけれど、長時間は親の体力的にきつい。
  • ベビーカーに乗せようとすると完全拒否。そして癇癪へ発展。

どう対応すればいいのか分からず、親のほうが限界を迎えてしまうこともあります。

私の娘も、自閉症の多動児です。
特に外出時の「ベビーカー拒否」の癇癪には、何度も心が折れました。

この記事では、自閉症で多動のある娘との外出時に起きた癇癪について、

  • うまくいかなかった対応
  • 「少し楽になった」と感じた具体的な工夫

を、体験談ベースで正直にまとめています。

外出時の癇癪に悩んでいる親御さんの、少しでも心が軽くなるきっかけになれば嬉しいです。

目次

自閉症で多動な子は、なぜ外出時に癇癪を起こしやすいのか

着物を着せようとするが嫌がり癇癪を起こしている様子

自閉症の子どもが癇癪を起こすことには、さまざまな要因が隠されています。

発語がなく、気持ちを言葉で伝えられない

言葉の発達が遅れている自閉症のお子さんは多いですが、娘も3歳になる現在、発語はほぼありません。

発語がない、または少ないお子さんの場合、

  • 歩きたい
  • 抱っこがいい
  • ベビーカーは嫌だ

といった気持ちを、言葉で伝えることができません。

そのため、思い通りにいかないと、

  • 体を使って、「嫌」を表現する(例:抱っこが嫌で歩きたい時は体を反らす)
  • 奇声をあげて「嫌」をアピール(例:娘は「キー」と甲高い声を出す)

といった行動でしか、気持ちを表現できないことがあります。

外出先では、親のタイミングで動いてもらう場面がどうしても増えます。
その中で思い通りにいかないと、癇癪という形で気持ちがあふれてしまうことがあります。


見通しが立たない外出は、不安になりやすい

自閉症の子どもは、
「このあと何が起こるのか分からない状況」を強い不安として感じやすいと言われています。

外出には、

  • 人が多い
  • 音や光など刺激が多い
  • いつもと流れが違う

など、見通しの立ちにくい要素がたくさんあります。

  • どこへ行くのか
  • いつ帰れるのか

が分からないまま連れ出されることで、不安や緊張が積み重なり、癇癪につながることもあります。


切り替えが難しく、気持ちが爆発しやすい

多動のある子は、一つの行動を急に止められることが苦手な場合があります。

たとえば、

  • 歩いていたのに突然ベビーカーに乗せられる
  • 抱っこから急に降ろされる

といった切り替えの場面です。

本人にとっては、
今はこれをしたい」という気持ちが強く残っています。

その状態で切り替えを求められると、一気に気持ちが爆発してしまうことがあります。

外出時の癇癪は「わがまま」ではなく、特性と環境が重なった結果として起きている場合が多いです。

我が家で一番つらかった外出時の癇癪は「ベビーカー拒否」

外出時の癇癪の中でも、我が家が一番つらかったのはベビーカー拒否でした。

多動のため歩かせたいけれど、現実は危険だらけ

娘には多動があり、

  • 手をつないで歩く
  • 後追いをする

といったことができませんでした。

外では、

  • 急に走り出す
  • 周囲を見ずに進んでしまう
  • 安全区域と危険区域の区別がつかない

など、常に危険と隣り合わせでした。

「歩かせてあげたい」「でも事故が怖い」

そんな葛藤の中、現実的な選択肢としてベビーカーを使わざるを得ませんでした。

抱っこにも限界がある

とはいえ、10kgを超えた子どもを長時間抱っこするのは、親の体力的にも限界があります。

しかし、抱っこが大好きな娘をベビーカーに乗せようとすると「絶対ベビーカーには乗らないぞ」と凄い力で親にしがみついてきます。

娘が歩きたい時には、自ら抱っこから降りようとします。しかし、多動であっちこっち動き回って、歩きたい方向へはいつになっても進むことができません。結局、親が待ちくたびれてしまい、親の方から娘を抱っこする形をとってしまいます。

そのため、親は強制的に抱っこを強いられ、外出後は、いつも疲れ果てメンタルも参っていました。

無理やり乗せる → さらに激しい癇癪へ

親も限界になり、無理やりベビーカーに乗せ、ベルトをつけようとすると、娘は全力で抵抗します。

2歳を過ぎる頃には力も強くなり、

  • ベルトをすり抜ける
  • ベビーカーの座面に立ち上がる
  • 走行中にベビーカーから無理やり降りようとする

そんなことの連続でした。

必死に乗せようとする親と、何としても降りようとする娘。
今振り返っても、外から見たらかなりカオスな光景だったと思います。

癇癪の理由は分かっているのに、止められない親のつらさ

どうにもできない現実

娘が癇癪を起こしている理由自体は、分かっていました。

  • 自由に歩きたいけど歩かせてもらえない
  • 抱っこがいいけどベビーカーに無理やり乗せられる

気持ちは、とてもはっきりしていました。

でも、親の気持ちは、

危なくて歩かせられない→体力的にずっと抱っこはできない→だからベビーカーに乗せたい!!

その結果、娘をベビーカーに無理やり乗せることになり、それを拒否する娘は奇声をあげ、のたうち回る
そんな状況を目の前にして、

「どうしてあげればいいのか分からない」

毎回、無力感に襲われていました。

周りの視線が、さらに追い打ちになる

その場にいる人たちの驚いた顔、じろじろ見る視線、好奇の目。

ちゃんとしつけができていない親
そう思われているような気がして、胸がぎゅっと苦しくなりました。

3歳頃には、ベビーカーに乗せるだけで癇癪を起こすことが、ほぼ毎回になっていました。

外出=癇癪

そう思うようになり、毎回の外出が重荷になってきました。

逆効果だった対応

思い通りにいかず座り込んでしまっている様子

癇癪が続くと、

  • 何とかしなきゃ
  • 今すぐ止めなきゃ

という気持ちが強くなります。

私も当時は必死でした。
でも今振り返ると、かえって癇癪を強めていたと感じる場面がいくつもあります。

無理やりベビーカーに乗せようとしたこと

一番逆効果だったのは、無理やりベビーカーに乗せ、無理やりベルトをしようとしたことです。

娘にとっては、

ベビーカー=動きを止められる、嫌なことをされる

という印象が、どんどん強くなっていったのだと思います。

冷静に考えると、嫌なことを無理やりさせられたら誰だって反抗したくなるよなと、反省しています

言葉で理解させようと必死になっていた

癇癪の最中、私は何度もこう声をかけていました。

  • 「立ったら危ないでしょ」
  • 「ちゃんと座って」
  • 「どうして分からないの?」

でも発語がなく、言葉の理解も難しい娘にとって、癇癪中の言葉かけは、ほとんど届いていなかったと思います。

むしろ、

  • 大きな声
  • 焦った表情
  • 強い口調

それらが重なり、不安や混乱を強めていた可能性があります。

周りの目を気にして、早く癇癪を収めようとしたこと

外出先での癇癪は、どうしても周りの視線が気になります。

「早く静かにさせなきゃ」
「迷惑をかけているかもしれない」

でも娘にとっては、親の焦りや緊張も、しっかり伝わっていたと思います。

その結果、落ち着くどころか、さらに癇癪が激しくなることも少なくありませんでした。


「止めること」だけに意識が向いていた

当時の私は、

  • 癇癪を起こさせない
  • 今すぐ止める

そんなことばかり考えていました。

「なぜ癇癪が起きているのか」「娘はどんな気持ちでいるのか」を考える余裕は、正直ありませんでした。

今振り返ると、癇癪そのものを敵のように見ていたのかもしれません。

自閉症で多動のベビーカー拒否の子どもに少し効いたと感じた外出・癇癪への対応

逆効果だった対応をやめたからといって、すぐに癇癪がなくなったわけではありません。

正直に言うと、今でもうまくいかない日はあります。
それでも、

  • これは少し楽になったかもしれない
  • 前よりは外出できているかもしれない

そう感じた工夫が、いくつかありました。

正しい乗り方にこだわらなかった(ベビーカーに立たせる)

ベビーカーに立ってしまっている様子

もう打つ手がなくなったとき、私は思い切って考え方を変えました。

  • ちゃんと座らせなきゃ
  • ベルトをしなきゃ

を、一度手放しました。

ベビーカーでは、

  • ベルトをしない
  • 無理に座らせない
  • 立ったままでもOKにする

もちろん、段差や横断歩道では体をしっかり支え、落下の危険がないよう細心の注意は払いました。

正しい使い方ではありません。推奨しているわけでもありません。
ですが、「とにかくベビーカーに乗ってくれている状態」を作ることで、外出そのものが成立するようになりました。

ヘルプマークをつけて、周囲の目から自分たちを守った

ベビーカーに立つ娘を見て、周囲の視線が刺さるように感じることが多くありました。

そこで、ベビーカーにヘルプマークをつけるようにしました。

「何か事情があるのかもしれない」

そう思ってもらえるだけで、親の気持ちが少し楽になりました。

周りに見られなくなるわけではありません。
でも、「説明しなくていい安心感」は、少し親の心を楽にしてくれました。

ベビーカーは対面式にして安心感を優先した

ベビーカーは、進行方向を向く背面式ではなく、親の顔が見える対面式にしました。

対面式にした理由として、

  • 娘が仮に座ったときに親の顔が見えて、背面式より安心感がある
  • 娘が座面に立ってしまっても背もたれが壁となってくれるため、正面からは目立ちにくい

繰り返しますが、立たせること自体をおすすめしているわけではありません。
あくまで、苦肉の策としての選択です。


ヒップシートで「抱っこしたい」に応えられるようにした

外出が一気に楽になったのは、ヒップシートを使うようになってからでした。

  • 抱っこよりも全然、体への負担が違う
  • 「降ろして→また抱っこ」がすぐできる
  • 子どもからしたら抱っこと同じなので、安心しやすい

「抱っこしてもらえた」という安心感は、娘の癇癪軽減に大きく貢献し、親の体と心への負担は言うまでもなく軽くなりました。

ちなみに、我が家ではポルバンのヒップシート(ポルバンベーシック)を使用していました。

自分で歩く練習を、少しずつ積み重ねた

多動があり、手をつなぐのも難しい娘ですが、「一生抱っこ・一生ベビーカー」ではいられません。

  • 5m歩けたら褒める
  • 5秒手をつなげたらいい子いい子する

そんな小さな積み重ねを、保育園や療育先とも連携しながら続けました。

家から保育園まで5分の道のりを、手をつないで歩けるようになるまで、1年以上かかりました。

それでも、

「歩ける距離が少しずつだけど増えている」

そう感じられることが、親の支えになっています。

自閉症の子どもが癇癪を起こさないために意識した「切り替えの工夫」

「癇癪が起きてしまった後」に対応するのは、正直とても大変です。
親の心も体も、消耗します。

だからこそ私は、

なるべく「癇癪が起きる前」「起きそうな瞬間」にできる工夫を、少しずつ意識するようになりました。

すべてがうまくいくわけではありません。
それでも、切り替えの引き出しを増やしておくことで、外出が少し楽になったと感じています。

自然な流れで次の行動に移す(歌を使った切り替え)

娘はアンパンマンが大好きです。

抱っこからベビーカーに移す直前など、切り替えが必要になる少し前から、アンパンマンの歌を歌ったりするとスムーズに次の動作に移れることがあります。

ポイントは、「切り替える前に歌い始める」ことです。気持ちが別のところに向くことで、癇癪が起きにくい環境を作っていきます。

そして歌は一人で歌うよりも、周りにいる大人みんなで歌ってあげる方が、よりインパクトがあり、娘の場合は効果が高かったです。

好きなおもちゃ・グッズで気持ちを切り替える

歌が効かないときは、娘の「安心スイッチ」になるおもちゃを使いました。

  • ペラペラできるノート
  • お絵描きボード
  • アンパンマンのぬいぐるみ
  • プッシュポップ

気持ちを「遊ばせる」ことへ向かせる目的もありますが、「持っているだけで落ち着く」という効果も期待できます。

外出時は、荷物になりにくい小さめの物を選び、癇癪が起きそうなタイミング(例:抱っこからベビーカーに移す直前)で渡すようにしていました。


動画・スマホは最終手段として使う

どうしても切り替えが難しいとき、最終手段として、スマホやタブレットで動画を見せることもあります。

正直に言うと、この方法をあまり積極的には使いたくありません。
なぜなら、スマホやタブレットは依存性が高く、切り上げることが難しいからです。

しかも発語がなく、言葉の理解も難しいため、健常のお子さんより「もう終わりだよ」が効きづらいです。
その結果、動画を取り上げることで、かえって癇癪が強くなることも少なくありません。

そのため、最終手段としましたが、癇癪と戦う親御さんには時として、必要なケースもあります。

娘の癇癪がどうしようもない時や、ママ一人、パパ一人の育児で余裕がない場合、迷わず動画を見せることもあります。

「癇癪が起きる前・起きた直後」を意識する

繰り返しになりますが、癇癪対策で一つ大事な観点として、

癇癪が完全に爆発してから対応するのは難しい

ということです。

まだ、癇癪の起き始め、気持ちがまだ揺れている段階の方が、切り替えが効きやすいです。

そのため、

  • どんな場面で癇癪が起きやすいか
  • どのタイミングが癇癪のトリガーになりうるか

を日頃から観察するようになりました。

外出中に

「癇癪が始まりそうだな」

そう感じた瞬間に、歌やおもちゃで切り替える。それで、癇癪を回避できる回数が少し増えました。

癇癪を「見守る」以外にできること

癇癪対策として、

「安全を確保して、落ち着くまで見守る」

という考え方は、よく言われます。

癇癪モードに入ってしまったらそのスタイルが必要になってくるでしょう。

ですが、癇癪を「見守る」前にも、出来ることはあるはずです
「癇癪の前兆」を察知し、切り替えの工夫を通して、癇癪を未然に防いでいくことも「見守る」以外の大切な選択肢ではないでしょうか。

自閉症の子どもの外出や癇癪に限界を感じている親御さんへ

こちらを穏やかな表情で見つめている様子

また癇癪が始まるかも

そう思いながら外に出る、その気持ち。本当に、しんどいですよね。

外出のたびに身構えてしまうこと。「今日もダメだったらどうしよう」と不安になること。

それは、あなたが怠けているからでも、弱いからでもありません。
それだけ、毎日ちゃんと向き合ってきた証拠だと思います。

癇癪が起きたからといって、これまでの関わりが無駄だったわけでもありません。

癇癪への向き合い方は、なるべく癇癪モードに移行する前に

  • 切り替えの工夫する
  • 切り替えの引き出し・手段を増やしておく
  • 頼れるおもちゃ・グッズは積極的に頼る

それらもすべて、お子さんのためであり、同時に親自身を守る大切な選択です。

あなたとお子さんのペースで、できるところからで大丈夫です。
同じように悩みながら、私も今も試行錯誤しています。

今回ご紹介した工夫が、少しでもあなたのお子さんの癇癪対策のヒントになり、外出へのハードルがほんの少し下がったなら、嬉しく思います。

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