自閉症児の癇癪対応|歩く・抱っこ・ベビーカーの事例から考えてみた【体験談】

床に転がって癇癪を起している様子
  • 自閉症の我が子の癇癪に困っている
  • 癇癪対応の具体例や体験談が知りたい

そんな思いをお持ちのママやパパへ。

私の娘も自閉症であり、日々の癇癪対応に頭を抱えることが多いです。
その中でも、外出時の癇癪は、守られた家での癇癪とは違い、周りの目や危険もあるため、親への負担もかなり増えます。

そこで本記事では、歩く・抱っこ・ベビーカーなどの外出時の事例をもとに、癇癪対応で「効果があった」役に立つ工夫や考え方を紹介していきます。

この記事がおすすめの方

  • 自閉症のこどもの癇癪に最近困っているママやパパ
  • 癇癪の対応について知りたい
  • 実際の体験談が聞きたい

癇癪に悩んでいるママ・パパの何かしらの参考になれば嬉しいです。

以下、目次から好きな箇所に飛んで読んでいただくこともできます。

目次

自閉症の子どもはなぜ癇癪を起こしやすいのか

着物を着せようとするが嫌がり癇癪を起こしている様子

自閉症の子どもが癇癪を起こしやすいことには、さまざまな原因が隠されています。
ここでは、歩き、抱っこ、ベビーカーなどの場面を想定して考えていきます。

癇癪の原因1:気持ちをうまく伝えられない

これは外出に限らずですが、自閉症のこどもは言葉の発達が遅れているケースが多いです。

外出時を例にあげると、ことばが遅れているこどもの場合、

  • 歩きたい
  • 抱っこがいい
  • ベビーカーは嫌だ

といった気持ちを、うまく伝えられないことがあります。

そのため、思い通りにいかないと、

  • 体を使って、「嫌」を表現する(例:抱っこが嫌で歩きたい時は体を反らす)
  • 奇声をあげて「嫌」をアピール(例:娘は「あー」と甲高い声を出します)

といった行動でしか、気持ちを表現できないことがあります。

外出先では、親のタイミングで動いてもらう場面がどうしても増えます。
その中で思い通りにいかないと、癇癪という形で気持ちがあふれてしまうことがあります。

癇癪の原因2:見通しが立たず不安になりやすい

自閉症の子どもは、
「このあと何が起こるのか分からない状況」を強い不安として感じやすいと言われています。

外出の場合でいえば、

  • 人が多い
  • 音や光など刺激が多い
  • いつもと流れが違う

など、見通しの立ちにくい要素がたくさんあります。

  • どこへ行くのか
  • いつ帰れるのか

が分からないまま連れ出されることで、不安や緊張が積み重なり、癇癪につながることがあります。

癇癪の原因3:切り替えが難しく、気持ちが爆発しやすい

自閉症のこどもは、一つの行動を急に止められることが苦手な場合がよくあります。

例えば、移動の場面でいうと

  • 歩いていたのに突然ベビーカーに乗せられる
  • 抱っこから急に降ろされる

といった切り替えの場面です。

本人にとっては、
今はこれをしたい」という気持ちが強く残っています。

その状態で切り替えを求められると、一気に気持ちが爆発してしまうことがあります。

癇癪は「わがまま」ではなく、特性と環境が重なった結果として起きている場合が多いです。

我が家の癇癪でよくあるパターン

日常的なこどもとの外出を例に挙げると、我が家の娘は

  • 多動で歩かせられない
  • 抱っこも長時間は親がきつい
  • 結局ベビーカーに頼るが、娘が拒否し癇癪

このパターンが3歳を過ぎたころより連日起こるようになりました。
もう少し細かく見ていきましょう。

多動のため歩かせたいけれど、現実は危険だらけ

自閉症のこどもには、落ち着きがなく、多動傾向であるこどもも少なくありません。

娘にも多動があり、

  • 手をつないで歩く
  • 後追いをする

といったことができませんでした。

外では、

  • 急に走り出す
  • 周囲を見ずに進んでしまう
  • 安全区域と危険区域の区別がつかない

など、常に危険と隣り合わせでした。

「歩かせてあげたい」「でも事故が怖い」

そんな葛藤の中、現実的な選択肢としてベビーカーを使わざるを得ませんでした。

親の抱っこにも限界がある

とはいえ、10kgを超えた子どもを長時間抱っこするのは、親の体力的にも限界があります。

しかし、抱っこが大好きな娘をベビーカーに乗せようとすると「絶対ベビーカーには乗らないぞ」と凄い力で親にしがみついてきます。

娘が歩きたい時には、自ら抱っこから降りようとします。

しかし、多動であっちこっち動き回って、歩きたい方向へはいつになっても進むことができません。結局、親が待ちくたびれてしまい、親の方から娘を抱っこする形をとってしまいます。

そのため、親は強制的に抱っこを強いられ、外出後は、疲れ果てることが多かったです。

無理やり乗せようとすることで癇癪となる

ベビーカーを嫌がり地面に座り込んでしまう

親も限界になり、無理やりベビーカーに乗せ、ベルトをつけようとすると、娘は全力で抵抗します。

2歳を過ぎる頃には力も強くなり、

  • ベルトをすり抜ける
  • ベビーカーの座面に立ち上がる
  • 走行中にベビーカーから無理やり降りようとする

そんなことの連続でした。

必死に乗せようとする親と、何としても降りようとする癇癪娘。

娘には発語がなく、親の言っていることもほぼ分からないため、ことばで伝える・納得させることが難しく、それがさらなる癇癪へと発展していくパターンでした。

癇癪の理由は分かっているのに、止められない親のつらさ

癇癪を前にどうにもできない現実

娘が癇癪を起こしている理由自体は、分かっていました。

  • 自由に歩きたいけど歩かせてもらえない
  • 抱っこがいいけどベビーカーに無理やり乗せられる

気持ちは、とてもはっきりしていました。

でも、親の気持ちは、

危なくて歩かせられない→体力的にずっと抱っこはできない→だからベビーカーに乗せたい!!

その結果、娘をベビーカーに無理やり乗せることになり、それを拒否する娘は奇声をあげ、地面にのたうち回る
そんな状況を目の前にして、

「どうしてあげればいいのか分からない」

と、頭を抱えることばかりでした。

周りの視線が、さらに追い打ちになる

その場にいる人たちの驚いた顔、じろじろ見る視線、好奇の目。

ちゃんとしつけができていない親
そう思われているような気がして、胸がぎゅっと苦しくなりました。

3歳頃には、ベビーカーに乗せるだけで癇癪を起こすことが、ほぼ毎回になっていました。

外出=癇癪

そう思うようになり、毎回の外出が重荷になってきました。

癇癪の対応で逆効果だったこと

思い通りにいかず座り込んでしまっている様子

癇癪が続くと、

  • 何とかしなきゃ
  • 今すぐ止めなきゃ

という気持ちが強くなります。

私も当時は必死でした。
でも今振り返ると、かえって癇癪を強めていたと感じる場面がいくつもあります。

無理やりベビーカーに乗せようとしたこと

一番逆効果だったのは、無理やりベビーカーに乗せ、無理やりベルトをしようとしたことです。

娘にとっては、

ベビーカー=動きを止められる、嫌なことをされる

という印象が、どんどん強くなっていったのだと思います。

冷静に考えると、嫌なことを無理やりさせられたら誰だって反抗したくなるよなと、反省しています。

言葉で理解させようと必死になっていた

癇癪の最中、私は何度もこう声をかけていました。

  • 「立ったら危ないでしょ」
  • 「ちゃんと座って」
  • 「どうして分からないの?」

でも発語がなく、言葉の理解も難しい娘にとって、癇癪中の言葉かけは、ほとんど届いていなかったと思います。

むしろ、

  • 大きな声
  • 怒った表情
  • 強い口調

それらが重なり、不安や混乱を強めていた可能性があります。

周りの目を気にして、早く癇癪を収めようとしたこと

外出先での癇癪は、どうしても周りの視線が気になります。

「早く静かにさせなきゃ」
「迷惑をかけているかもしれない」

でも娘にとっては、親の焦りや緊張も、しっかり伝わっていたと思います。

その結果、落ち着くどころか、さらに癇癪が激しくなることも少なくありませんでした。

「止めること」だけに意識が向いていた

当時の私は、

  • 癇癪を起こさせない
  • 今すぐ止める

そんなことばかり考えていました。

「なぜ癇癪が起きているのか」「娘はどんな気持ちでいるのか」をあまり考える余裕はありませんでした。

自閉症の娘に効果的があった外出時の癇癪対応

逆効果だった対応をやめたからといって、すぐに癇癪がなくなったわけではありません。

正直に言うと、今でもうまくいかない日はあります。
それでも、

  • これは少し楽になったかもしれない
  • 前よりは外出できているかもしれない

そう感じた工夫が、いくつかありました。
歩く、抱っこ、ベビーカーそれぞれで工夫をしてみました。

正しい乗り方にこだわらなかった(ベビーカーに立たせる)

ベビーカーに立ってしまっている様子

もう打つ手がなくなったとき、私は思い切って考え方を変えました。

  • ちゃんと座らせなきゃ
  • ベルトをしなきゃ

を、一度手放しました。

ベビーカーでは、

  • ベルトをしない
  • 無理に座らせない
  • 立ったままでもOKにする

もちろん、段差や横断歩道では体をしっかり支え、落下の危険がないよう細心の注意は払いました。

正しい使い方ではありません。推奨しているわけでもありません。
ですが、「とにかくベビーカーに乗ってくれている状態」を作ることで、外出そのものが成立するようになりました。

ヘルプマークをつけて、周囲の目から自分たちを守った

ベビーカーに立つ娘を見て、周囲の視線が刺さるように感じることが多くありました。

そこで、ベビーカーにヘルプマークをつけるようにしました。

「何か事情があるのかもしれない」

そう思ってもらえるだけで、親の気持ちが少し楽になりました。

周りに見られなくなるわけではありません。
でも、「説明しなくていい安心感」は、少し親の心を楽にしてくれました。

ベビーカーは対面式にして安心感を優先した

ベビーカーは、進行方向を向く背面式ではなく、親の顔が見える対面式にしました。

対面式にした理由として、

  • 娘が仮に座ったときに親の顔が見えて、背面式より安心感がある
  • 娘が座面に立ってしまっても背もたれが壁となってくれるため、正面からは目立ちにくい

繰り返しますが、立たせること自体をおすすめしているわけではありません。
あくまで、苦肉の策としての選択です。

ヒップシートで「抱っこしたい」に応えられるようにした

外出が一気に楽になったのは、ヒップシートを使うようになってからでした。

  • 抱っこよりも全然、体への負担が違う
  • 「降ろして→また抱っこ」がすぐできる
  • 子どもからしたら抱っこと同じなので、安心しやすい

「抱っこしてもらえた」という安心感は、娘の癇癪軽減に大きく貢献し、親の体と心への負担は言うまでもなく軽くなりました。

ちなみに、我が家ではポルバンのヒップシート(ポルバンベーシック)を使用していました。

自分で歩く練習を、少しずつ積み重ねた

多動があり、手をつなぐのも難しい娘ですが、「一生抱っこ・一生ベビーカー」ではいられません。

  • 5m歩けたら褒める
  • 5秒手をつなげたらいい子いい子する

そんな小さな積み重ねを、保育園や療育先とも連携しながら続けました。

家から保育園まで5分の道のりを、手をつないで歩けるようになるまで、半年以上かかりました。

それでも、

「歩ける距離が少しずつだけど増えている」

そう感じられることが、親の支えになっています。

自閉症娘が癇癪を起こさないために意識した「工夫」

「癇癪が起きてしまった後」に対応するのは、正直とても大変です。
親の心も体も、消耗します。

だからこそ私は、

なるべく「癇癪が起きる前」「起きそうな瞬間」にできる工夫を、少しずつ意識するようになりました。

すべてがうまくいくわけではありません。
それでも、切り替えの引き出しを増やしておくことで、外出が少し楽になったと感じています。

工夫その1:自然な流れで次の行動に移す(歌を使った切り替え)

娘はアンパンマンが大好きです。

抱っこからベビーカーに移す直前など、切り替えが必要になる少し前から、アンパンマンの歌を歌ったりするとスムーズに次の動作に移れることがあります。

ポイントは、「切り替える前に歌い始める」ことです。気持ちが別のところに向くことで、癇癪が起きにくい環境を作っていきます。

そして歌は一人で歌うよりも、ママ、パパみんなで歌ってあげる方が、よりインパクトがあり、娘の場合は効果が高かったです。

工夫その2:好きなおもちゃ・グッズで気持ちを切り替える

歌が効かないときは、娘の「安心スイッチ」になるおもちゃを使いました。

気持ちを「遊ばせる」ことへ向かせる目的もありますが、「持っているだけで落ち着く」という効果も期待できます。

おもちゃやグッズは何でもいいわけでなく、普段家でよく遊んでいるものがおすすめです。

外出時は、荷物になりにくい小さめの物を選び、癇癪が起きそうなタイミング(例:抱っこからベビーカーに移す直前)で渡すようにしていました。

工夫その3:スマホ・タブレットは最終手段として使う

どうしても切り替えが難しいとき、最終手段として、スマホやタブレットで動画を見せることもあります。

正直に言うと、この方法をあまり積極的には使いたくありません。
なぜなら、スマホやタブレットは依存性が高く、終わらせることが難しくなる場合が多いからです。

しかも娘のように発語がなく、言葉の理解も難しいこどもは、健常のお子さんより「もう終わりだよ」が効きづらいです。そのような状況で、スマホやタブレットを取り上げると、かえって癇癪が強まることも少なくありません。

そのため、最終手段としましたが、癇癪と戦うママ・パパには時として、必要なケースもあります。

娘の癇癪がどうしようもない時や、ママ一人、パパ一人の育児で余裕がない場合、迷わず動画を見せることもあります。

工夫その4:「癇癪が起きる前・起きた直後」を意識する

癇癪の予兆を早めに判断、早めに切り替え対策を講じる

繰り返しになりますが、癇癪対応で一つ大事な観点として、

癇癪が完全に爆発してから対応するのは難しい

ということです。

まだ、癇癪の起き始め、気持ちがまだ揺れている段階の方が、切り替えが効きやすいです。

そのため、

  • どんな場面で癇癪が起きやすいか
  • どのタイミングが癇癪のトリガーになりうるか

を日頃から観察することが大切です。

外出中に

「癇癪が始まりそうだな」

そう感じた瞬間に、歌やおもちゃで切り替える。それだけで、癇癪を回避できる頻度を減らすことにつながります。

癇癪を「見守る」以外にできること

癇癪対応の基本として、

「安全を確保して、落ち着くまで見守る」

という考え方は、よく言われます。

癇癪モードに入ってしまったらそのスタイルが必要になってくるでしょう。

ですが、癇癪を「見守る」前にも、出来ることはあるはずです
「癇癪の前兆」を察知し、切り替えの工夫を通して、癇癪を未然に防いでいくことも「見守る」以外の大切な選択肢です。

まとめ:癇癪の対応を少しずつ見に付けていこう

こちらを穏やかな表情で見つめている様子

癇癪への向き合い方は、

  • なるべく「癇癪モード」に移行する前に切り替えの工夫をする
  • 普段から切り替えの引き出し・手段を増やしておく
  • 頼れるおもちゃ・グッズは積極的に頼る

ママ・パパと・お子さんのペースで、できるところからで構いません。
私も同じように悩みながら、日々、試行錯誤しています。

今回ご紹介した体験談が、少しでもあなたのお子さんの癇癪対応のヒントになればとても嬉しく思います。

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